長くご愛用いただいた家具には、たくさんの思い出が。レストアストーリーでは、そんな思い出の家具を修理して使い続けるお客さまの声や、実際の修理の様子をご紹介いたします。
ご依頼主:千葉県在住 Kさま
ご愛用家具:エクリプス LD サイドチェアー 2脚
ご購入年:2003年頃
修理内容:張替え・ウレタン交換
前回の記事では修理の打ち合わせやお客さまからの心温まるメールをご紹介しました。今回は職人さんによる工場での修理風景をお届けいたします。
修理工程1「剥がし」
修理の最初は、古い張地やウレタンを剥がすこと。座や背を木部から外し、張られている張地やウレタンを丁寧に剥がしていきます。「この椅子は座や背が外れるから比較的やりやすいけど、座や背が一体化している場合は、壊さないように剥がさなきゃいけないから注意が必要」と話すのは、修理担当の林。創業の翌年に入社したというだけあり、製品についての知識・経験も豊富です。
ちなみに、レストアは勤続年数の長い人が担当することがほとんど。数十年前に廃番となった製品の修理を受けることもあるレストアでは、これらの製品知識があることが、安心な修理作業につながります。
パーツの下処理が完了したところで、次の工程へ進みます。
修理工程2「下張り・ウレタン」
次の工程は、パーツだけになった木部に下張りを施し、ウレタンを張っていきます。この工程を担当する進藤は、「ウレタンを張る時は、木部に劣化や異常が無いかしっかりとチェックした上で行います。新品ではないことと、ウレタンを張った後は木部が見えなくなり、異常があっても気付くことができないためです」と話してくれました。
数種類のウレタンをパーツごとに切り分け、何層にも重ねて丁寧に張っていきます。複数のウレタンを組み合わせて使用するのは、この椅子に限ったことではありません。カンディハウスの椅子(木座を除く)やソファーは、掛け心地と形状を追求し、製品にあわせて数種類のウレタンを厚みや硬さ、重ねる順番を変えて張っています。
さて、各パーツにウレタンが張られたところで、次の工程へ。
修理工程3「上張り・組み立て」
最後は、各パーツにお客さまが選んだ張地を張り込んでいきます。一見単純な工程に見えますが、張地を綺麗にかぶせるのもなかなか大変な作業。しわや余りが生じないようぴったりと張るために、張地によって裁断するサイズを変えています。今回お客さまが選んだ張地は伸縮性が少ない生地のため、担当者も時間をかけながら丁寧に作業を進めていきました。
バラバラだったパーツを組み合わせ、細部のチェックを行い、いよいよ修理品の完成です!
すべての工程が終了し生まれ変わったエクリプス LD サイドチェアー。次回は実際に仕上がった完成品をお客さまのもとへお届けした際の様子をお届けいたします。